リノール酸などの不飽和脂質は,熱や光などの刺激により空気中の酸素と反応し,過酸化物と変化する.過酸化物はさらに反応し,アルデヒド,ケトンなどの二次生成物へと変化することが知られています.過酸化脂質および二次生成物は生体への種々の影響が指摘されています.
本研究では,食品油脂に含まれるリノール酸と人の皮脂の成分であるスクアランの酸化速度におよぼす温度,脂質濃度,酸素分圧や紫外線照射の影響について検討しています.
また,抗酸化剤を添加して酸化速度におよぼす影響を定量的に明らかにし,酸化生成物の分析を行い,抗酸化機構を検討しています.抗酸化剤の作用を含んだ反応モデルを仮定して抗酸化過程をシュミレートし抗酸化剤の添加量と抗酸化時間の予測を可能にすることを目指しています.