酸化酵素を利用したバイオマスからの有用物質の生産

地球温暖化や原油価格の高騰に伴ってバイオマスをエネルギーや化成原料として利用することが望まれています。

これまでに植物バイオマスで利用の対象となってきたのは、デンプン、セルロース、キチンなどの糖質もしくは脂肪酸ですが、植物の二次代謝産物であるリグニンやポリフェノールなどの芳香族化合物系バイオマス(芳香族バイオマス)は利用が進んでいません。

当研究室では、微生物由来の酸化酵素を利用して芳香族バイオマスを利用可能な物質に変換するために以下の研究を行っています。


1 リグニンの化学・生物処理による変換

リグニンは、植物の細胞壁に沈着している難分解性の高分子ですが、熱処理やアルカリ処理などにより部分分解されます。また、自然界では担子菌(キノコの仲間)は、枯れ木に寄生するときに、それ自身が出すポリフェノール酸化酵素(ラッカーゼ)のはたらきでリグニンを分解します。それらの過程で生成する低分子の芳香族化合物を、ポリマーの原料や医薬品のような有用な物質に変換できるような微生物もしくは酸化酵素の探索をおこなっています。 


2 ポリフェノールの酸化酵素による変換

茶に含まれるカテキンなどのポリフェノール類は、酸化反応によって2〜4量体化したり他のフェノール類と結合することによって、抗酸化活性が増してさらに抗血栓作用などの機能性が高くなるといわれています。本研究室では、種々の植物から分離された希少なポリフェノールを酸化酵素ラッカーゼで処理して新規なポリフェノールの創製することを試みています。



※これらの研究テーマは、宮崎大学工学部物質環境化学科・資源環境化学講座との共同研究で実施しています。






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