湯井先生「平成25年度セルロース学会林治助賞」を受賞

LAST UPDATE: 10.10.2014


 2014年7月17日-18日に鹿児島市で実施された第21回セルロース年次大会で、湯井敏文先生が「平成25年度セルロース学会林治助賞」を受賞なさいました。セルロース学会林治助賞は、セルロース科学と技術の発展に顕著な貢献をした国内外の気鋭の研究者に贈られるものとされています。賞設立の背景や受賞者などの情報はこちらをご参照下さい。
簡単ではありますが、湯井先生の業績について触れます。これまでに、湯井先生は、一般的な材料シミュレーションとは異なる切り口で、有限長のセルロース結晶モデルを提案し、それらを対象とした計算化学研究をなさってきました。この提案された有限結晶モデルは、シンプルであるにもかかわらず、実際に観察されるセルロース単結晶繊維のねじれ変形や結晶多形間の転移挙動を再現することに成功し、それだけでなく、同様のコンセプトで分子鎖シートモデルを対象とした計算により、セルロースナノチューブといった新規ナノ構造体の提案や分子鎖シートの積層に基づくセルロース結晶構造の新たな解釈を提案するに至りました。
 受賞講演では、「実際の系をどのように切り取るのか?」からはじまり、研究テーマの着想に至るまでの経緯、得られた研究成果、U君DFT計算事始め物語(縦横比が特徴的なシルエットに笑いを堪えられなかった人が多かったようです)、コンピュータの進歩に関するトピックスなど、最後まで非常に面白いご講演で学会初日を締めて頂きました。写真は、授賞式(湯井先生は一番右端)の様子です。湯井先生、おめでとうございます! (文責:宇都卓也)