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 スギ材の水蒸気を用いる高温低湿乾燥中に得られるスギ材乾燥排出液に含まれる有機物質を明らかにし、利用用途を開発する目的で研究を行った。


(1) スギ材乾燥凝縮液の溶媒抽出および合成吸着剤吸着分離
・スギ材乾燥時に排出口からの蒸気を冷却して得た凝縮液をヘキサン、ついで酢酸エチルで抽出し、抽出物を得た。
・凝縮液を合成吸着剤HP-20により吸着後、有機溶剤で脱着してHP-20吸着分離物を得た。

(2) ガスクロマトグラフィー質量分析装置(GCMS)分析
・有機溶媒による抽出物およびHP-20吸着分離物の主要な成分は、スギ材精油成分のセスキテルペンおよびジテルペンであることがわかった。

(3) スギ材の水蒸気乾燥工程での含有成分の化学変化の分析
・水蒸気乾燥スギ材および未処理スギ材の溶媒抽出分画物をGCMS分析した結果、スギ材に多く含まれているセスキテルペンの中で、少なくとも3種類の成分が水蒸気乾燥中に化学変化することがわかった。

(4) スギ材乾燥凝縮液の溶媒抽出物およびHP-20吸着分離物の生物活性
・細菌に対する抗菌活性は、ヘキサン抽出物より酢酸エチル抽出物およびHP-20吸着分離物が抗菌活性が若干強く、グラム陰性菌よりグラム陽性菌に対して抗菌活性が高い傾向を示した。
・抗蟻活性や生活害虫忌避(虫除け)の効果も探索中である。